2003年度
豪華絢爛、日本一の山車祭りと言われる「八戸三社大祭」が、青森県八戸市において今年も華やかに開催されました。これまで前夜祭を含め4日間の開催期間だった八戸三社大祭ですが、東北新幹線八戸駅開業を受け、新たに5日目の後夜祭を加えた7/31〜8/4の計5日間で開催されました。天候に恵まれませんでしたが、それでも開催期間延長と新幹線開業の効果で、期間中の人手の総数は昨年より20万人以上の増加となりました。吉田産業グループも唯一の企業山車として参加し、今年で14年となりました。
今年は各山車組とも挑戦の年でした。エンジンによる山車の自走が今年から禁止になり、人力で引っ張るためには山車を小型・軽量化しなければなりません。さらに審査の休止により、製作意欲が失われ、これまでのような豪華絢爛な山車が見られないのではという懸念の声もありました。しかし、どの山車も例年と変わらず見事な山車を作り上げ、吉田産業グループも山車の長さを約1m50cm縮めましたが、製作スタッフの努力により、今までと変わらないすばらしい山車との称賛の声を頂きました。
吉田産業グループの今年の山車は「寿狂言 矢の根(ことぶききょうげん やのね)」。新幹線開業後の初めての三社大祭にちなんで、めでたい題材を山車題名に選定しました。山車の審査は今年はありませんでしたが、八戸市の「あなたが選ぶ三社大祭人気投票実行委員会」による、市民や観光客からのインターネット投票と街頭投票の集計結果では、見事第2位を頂きました。これを励みにおまつりの一員として更なる精進を目指し努力して参ります。山車の製作から運行までご協力、応援して下さった全ての方々に、この場をかりてお礼申し上げます。
以下、今年の吉田産業グループの参加の様子、山車の概要をご覧下さい。
お祭りの様子をご覧ください。 写真をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。
2003年度 吉田産業グループの山車のあらまし
山車題名
寿狂言 矢の根(ことぶききょうげん やのね)
題材設定の趣旨
矢の根は、1729年正月、二代目團十郎が演じたのが最初だと言われている題材でめでたい寿狂言。今年は、新幹線開業して初めての三社大祭にちなんでめでたい題材を山車題名に選定した。
主役
曾我五郎時政
山車概要(場面説明)
正月の相模国曾我の家で父の敵を討つことを願う曾我五郎時政が、矢の根をとぎながら七福神を数え上げて悪態をついていると、大薩摩主膳太夫が年始の挨拶に訪れ、年玉として扇子と宝船の絵を置いていく。五郎はよい初夢でも見ようと絵を枕にして寝るが、夢に現れたのは兄の十郎で、「工藤の館に捕らえられている」と告げて助けを求めた。五郎は飛び起きて四方を向いて厄を払い、柱巻の見得見せて屋体より飛び降りて力足を踏み、再び屋体へ上がり左足を一段落として元禄見得をきる。仁王襷になった五郎は、通りかかった馬士の馬を奪い右手には鞭の代わりに大根をもち工藤の館に向かった。山車は中央上段に五郎が元禄見得をきっている場面、左回転部には柱巻の見得をきっている場面、右回転部には大根を手に持ち馬に乗っている場面、中央下段には七福神を配置した。
見返しの場面
昨年の出し物「當世流小栗判官」より、熊野権現の法力により小栗の病が治り、照手姫と共に白馬に乗り常陸の国を目指して飛んでいく場面。
製作における力点
主役3体の人形を他の人形よりも一回り大きくし見得の動作をよく見えるようにし、衣装も細部までこだわり荒事芸の豪快さが伝わるように製作した。